「2015詩まとめ」
雪雫



2015/02/23 "SUbCONSCIOUS"より5編



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breeze



ぼくは歩く
そよ風が、指を凍らす

星は、かくれている


立ち止まり、空を見上げてみれば
光が夜に、浮かび上がる

三角形は、どこだろう?
北斗七星は、見えるかな?

この世界に、
息をしているのは、ぼくだけ


でも、空を見上げていると
自分さえ、見失ってしまうような──


白く、息を吐いて、
広い宇宙の夢を、忘れる

ぼくは歩く
そよ風が、指を凍らす

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sleep




おやすみ


新しい出会いは、新しい別れを生むものなんだって
いつ、気付いたのか
ぼくは、覚えていない

日記に、小さく綴る文字
きっと誰にも読めない文字


あのお話を書いてくれた君が、
ぼくにだけ教えてくれた、不思議な言葉


「これは、幸せを記録する呪文だ」

得意気に語った君の笑顔も
夢に包まれて、今は思い出せない

幻に、溺れたままでいることなんて
誰も、許しちゃくれない


けれど
ぼくは確かに、泣いた

君のいた世界で、
ぼく達は、涙を流していたはずだから



おやすみ

もう一度、夢に見る日まで


ことばで彩られていた、空想の世界が
あの日のまま
綺麗なままであるように


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meteor, fragments of memory



流れ星は、燃え尽きて消える


きっと、誰かは夜を見上げている
名もない旅人の、旅の終わり

世界は、広いから
何十億の可能性に、空は埋め尽くされていて

孤独とは無縁に
ぐるり、ぐるりと
監視されながら、巡っている



それとも
誰にも知られず、消える流れ星もあるんだろうか



寂れたマンションの一室で、いつものように空を見ていた
うねりのような、不思議な予感が、ぼくの心を揺らしていた
空が光り、影となって

目の眩むような夢が、夜に裂ける

解き明かされない秘密を、その身に背負って

孤独な旅の終わりを、ぼくは息を潜めて、見つめていた


さよなら、と、夜に声がした


空に消えた、あの旅人の末期を
顔も知らない、誰かと看取る

そんな幸いが、あるのなら


記憶の断片が、静かに心を焦がす


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to tomorrow



夜に、ことばを唱えた
白い吐息が、雪と夜を溶かす


「───」



きっと、寒くなるだろうな、って
まだまだ、春は遠いだろうな、って


明日は、少し歩きにくくなっているかもしれない、この道を
小さい頃のぼくだったら、元気に走り回っていただろうか、って

思い出した、ふりをした
それに相応しい夜だと、思ったから

それに相応しい自分ではなくても
上手く誤魔化すことは、難しくはないから

何があったわけじゃなくて
ただ、祈りたくなった

何を信じているわけじゃないけれど
何を信じないわけじゃないけれど

何事もなく、平穏である世界が
明日も、明後日も、変わらずあるはずの、夜が

あるがままに、続くことを



雪が、降っている


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movie end.




───、
ジリリ、ジリリ、と音が鳴って
思い出したかのように、世界は色を取り戻す



或いは、忘れていたのかもしれない
自分が、自分であることさえも


それは、夢だったんだろう


君は、席を立たない
君の他には、誰も座っていない
ただ、ジリリ、ジリリ、と音が鳴って
白と黒の明滅が、チカチカと繰り返されているだけで


君は、席を立たない



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2015/11/10 "星を砕くような握力"より8編




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さよなら、と呼ぶ声



せめて、嫌いになって苦しみたかった、と君は言った
私には、その意味は分からない


醜悪な鼓動に息を詰まらせながら、安らぎを指先でなぞる

水の雫、ひとつ
水の雫、ひとつ
水の雫、ひとつ

溢れ薄れ消える痛みを
私の言葉で再構成できるなら

ただ、紛らわすだけでも
この疼きを抑えつけられるのなら

時計の針さえ、今はすべて私のなか
何かを切断するようなノイズと、嗚咽

暗い色をした何か


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天秤






砂に崩した夢が、遠く凪
平穏の過去に横たわっている





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街灯





夜の空に息をする
誰にも聞かれないように
望んだだけの星が、ぼくのすべてを包み込むように
微かに聞こえる泣き声さえ、眠りの中に沈みゆくように


夜の空に息をする
誰にも聞かれないように
誰のものでもない星が、そこにあり
ただぼくは、かくれている


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泡沫




うたかた、ふわり
ゆめのなか
ただ、とおく、あっただけのもの
傷だらけだったはずの、こころ
ねむる私


うたかた、うそみたい
すべては幸せ
溺れるようなしぐさ
傷だらけだったはずの、こころ
ねむる私


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生存志願



明日に死を呼ぶ
それは、退屈に寝そべっている


安楽のために、だなんて
安易に騙せる自分
腕に切り込みを入れて
慰めに、涙を血に混ぜる


その涙が君を殺すのに


ふらつく体温
息をしろ、息をしろと喚き立てる声


なあ、聞いてるか
死ぬために楽をしたら終わりだろ?


明日に死を呼ぶ
それは、退屈なふりをしておきながら
刺激なんて求めちゃいない


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壊れた時計




推定15秒の孤独に、ぼくは小さく震える



選択したものを、失うとは呼ばない
選択しないものを、運命とは呼ばない


昨日見た明日の今日
君は着信不在


消えるなら、記憶も一緒に消してくれ、と
短く綴ったメールも


届かないと分かってしまうのが怖いから
未だに送れないままでいる


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祈りのとき





星が落ちるなら
せめて、眩く輝いて欲しい

希望の一欠片もなく
ただ受け入れるしかないのだと、思い知らせて欲しい


それでも歪に世界は自転し
失望だけを、ただ、空に放つ


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間隙



ちっぽけな僕と、ちっぽけな君と、空

万有引力に従って
僕は叫び、君は呟く

愛と
それを嘘にする言葉


32.1m
2.6s


不器用な優しさを選ばずに
本当のことを言って、嘘だと思われてもよかった


いつも通りの空


僕たちは
小さく、後悔だけをした



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